昔ながらの白黒マジック キャロル・ゲレムボスキー
That Old Black and White Magic by Carol Golemboski
ハットトリック#2
マッチのプリント
バースデー
罠の扉
ジョーカー
スモーキングガン
すごく年のいった女性
ダミー
体をなくした脚
ハットトリック#1
消える術
狙いの女の子
だまし卵
クィーン・オブ・ハート
女性をのこぎりでまっ二つ
隠し芸
写真と魔法は切っても切れない仲間のようなものだ。マジシャンは伝統的に、間違い、トリックや早業に頼っている。写真は、「真実」を記録する唯一のメディアとされるが、だますことができるのである。昔ながらの白黒マジックでは、写真家がマジシャンであり、暗室のカーテンの向こうでトリックを使うのである。時にはカメラにイリュージョンが起きることがあるが、ほとんどの場合は、プリントの過程で発生する。そこでは写真が絵画と組み合わされ、フォトグラムがイメージ自身の真実性を問うのである。
これらの写真が暗闇、神秘性や隠喩に頼る一方で、ある部分、叙情的でもある。現像をして、写真が魔法のように現れて驚いたことがある人なら、このシリーズが、なくなりつつある時代を思い起こすであろう。ここでは、古い決まりきったお約束のマジックのトリックが、観る者の目に羊毛を覆うような写真のいたずらと融合している。しかし、写真は、消え行く写真技術に大しての物悲しさを表している訳ではない。消え行く暗室のマジックが、まだ驚き、興味、緊張、そして驚嘆が混ぜ合わさったものを作り指す強い力があることを証明している。
(翻訳:山田晃弘)
キャロル・ゴレムボスキーは、アメリカ、コロラド州デンバー在住の写真家。
キャロル・ゴレムボスキー ウェブサイト