カリグラフィー  S・ゲイル・スティーブンス

Calligraphy by S.Gayle Stevens

176_thread.jpg
繊維


176_stevens2-walking.jpg
歩く


176_stevens3-tale.jpg
しっぽ


176_stevens4-orbit.jpg
軌道


176_stevens5-icarus.jpg
イカロス


176_stevens6-blow.jpg
吹く


176_stevens7-change.jpg
変化


176_stevens8-still.jpg
静けさ


176_stevens9-cornucopia.jpg
豊穣の角


176_stevens10-life.jpg



176_stevens11-map.jpg
地図


176_stevens12-passer.jpg
通過


176_stevens13-dragon.jpg



176_stevens14-prick.jpg
突く


176_stevens15-dance.jpg
ダンス


176_stevens16-speak.jpg
話す


176_stevens17-estuary.jpg
入り江


176_stevens18-catnmouse.jpg
猫と鼠


176_stevens19-lace-1.jpg
レース


176_stevens20-dive.jpg
潜る


176_harpy.jpg
ハルピュイア

カリグラフィー(書道):美しい筆跡、ドローイング
フォトグラフィー:光のドローイング
タクソノミー(分類法):生き物の分類についての科学

〈カリグラフィー〉は、私が自宅付近の散歩や旅行で集めた植物や動物の標本を被写体にした、コロジオン湿板によるフォトグラムのシリーズです。17世紀、博物館の原型ともいえる自然史のコレクション、“キャビネット・オブ・キュリオシティ”からインスピレーションを得ました。「キャビネット」とは小さな部屋のことで、そこにさまざまな植物や動物の保存標本や鉱物のコレクションが陳列されていたのです。私のコレクションは多様な動植物の残骸や死体、骨などから成っています。私はずっと、私たちが日々の生活のなかで見過ごしているものに興味をそそられてきました。わずかな残存物にこそ宿る独特の美しさを大切にしたいのです。

私はこれらの標本のドローイングをコロジオン湿板の上に描き出しました。フォトグラムのシルエットは暗い影のようであり、わずかな線で構成されながら豊かな表現力をもつ中国の書道の筆跡を彷彿とさせます。かつての標本がそうであったように、銀を多く含む湿板は変化しやすく、定着処理をしていないため、年月とともに変色します。変色の度合いや速度は環境によって左右されますが、やがてアンティーク・シルバーのような風合いに変化していきます。

〈カリグラフィー〉シリーズは、19世紀の標本と同様の5インチ(約13センチ)四方のプレート(1枚または数枚)を、黒い木のシャドーボックスフレームに収めたものです。このコレクションは、私の毎日の散歩で集めた標本を陳列した私的博物館としてディスプレイされます。これらの写真は私にとっての「メメント・モリ(死を想え)」といえるもの――過ぎ去った生命の証であり、束の間浮かんで消えていった影を表現したものです。

(翻訳:幾島幸子)

S・ゲイル・スティーブンス
イリノイ州ダウナーズ・グローブ在住の写真家。
S・ゲイル・スティーブンスウェブサイト S.Gayle Stevens website