本シリーズでは、中国の石灰石採掘現場の人目に触れることのない現況を伝えようと試みた。鉱山の大半は台湾のセメント会社が所有する。これらの企業は台湾の資源を掘り尽くした後に、中国に進出した。標準的な作業手順を踏んで行われる採掘では、山頂を切り開き、機械を用いた掘削に特有な直線的で幾何学的な山肌を後に残す。こうした堀跡は広大な緑の森林地帯の中に佇んで、人間の力が作り出した驚異的な景観を呈する。本作には、宋時代に発達した美術の表現形式を翻案して採り入れた。自然に手を加え、作り替えて心象風景を模し、中国古来の壮大な水墨の「山水画」に通じる新たな表現の追求を試みた。

楊哲一/Yang Che-Yiは台湾･台北在住の写真家。

流浪的撮影空間
台湾當代藝術資料庫
facebook記事