龍の背 今野光

The Dragon’s Back by Hikaru Konno

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僕の暮らす町から南へ約120キロ、太平洋に突き出した岩の上に居ます。その岩の更に南にある台風が作り出した波が足元で砕け、風が飛沫を作り僕に降り注ぐ。幾重にも連なったうねりは、龍の背のようにそして風を受けた波頭は鰭のように感じられるのです。
龍はDragonと英語訳されますが、しかしその概念は異なり私達を加護してくれたり、水の神様だったり身近だけれども尊ぶべき存在なのが龍です。だからなのでしょうか、この岩の上に立っていると信仰心のあまりない私でさえ目の前の自然現象に「何か」を感じ、恐れながらも畏敬の念を抱くようになります。
普段あまり気に留めていないのですが、古より受け継がれてきた日本人としての心の納め場所が僕にも備わっているようです。
さらに波の躍動、轟音、飛沫そして風の圧力がモヤッとした気分を爽快にしてくれることは言うまでもありません。



今野光は東京の写真家。

今野光 ウェブサイト