夢の島 岡田正人
Yume no Shima “Dream Island” by Masato Okada
神戸生まれの神戸育ちの岡田正人が東京に拠点を移したのは27歳の頃だった。しばらくすると東京湾岸沿いのゴミ処理場であり埋立地の光景に惹かれるようになる。70年代後半からおよそ10年間、都市が排出するゴミの荒野「夢の島」周辺から浦安方面までを撮影のフィールドとした。
土砂、泥、ドロが、さまざまな廃棄物のかたちを残しながら一面を土色で覆う。液状化の泡、腐蝕、日照りの地割れ、小さな流れ・・・。背後に高速道路用の鉄筋コンクリートが迫り来るまで、この地は広大なドロのキャンバスだったのだ。
2006年3月に他界した撮影者のまだ若い頃、東京の地膚とともにあった日々の記録である。
岡田(田辺)澄江
岡田正人が東京のゴミ捨て場であった夢の島の表層の泥を撮影した写真は当時からとても気にかかる写真で雑誌『遊』1022号に「蝕」というタイトルで掲載していただいた。今から35年前の話である。発展中の東京のダークサイドを闇に埋め込もうとしていた場所から立ちのぼる気は彼の中で泥というエレメントにまで昇華していった。東京の最も忌まわしい場所から最も品格のある作品が生まれた。
永田陽一
故岡田正人は神戸出身の写真家。
田中泯 海やまのあひだ