自分の影を探して スティーブ・フォード
Losing My Shadow by Steven Ford
つい先日、「どうして東京を選んだの?」と聞かれました。そんなことは考えたこともありませんでしたが、それなのに、当然のように躊躇なく、「私が東京を選んだのではなく、東京が私を選んだのです」と答えました。
最初の旅は、私は自分自身から、そして不安からの逃避でした。飛行機が着陸したと同時に、ひどい風邪をひき1週間はもうろうとしていました。その時の思い出とは、食事が合わず、水がまずく、そして誰も私の眼をみないのでイライラしたことでした。帰国の時にはもう二度と来ないと心に決めたほどです。
6ヵ月後、ようやくその時撮った写真を見て、もう一度訪れなくてはいけないと感じ再び訪れました。帰国の度、いつも、「もういい、これでおしまい。次は別の国で違うものを見よう」思うのですが、いつも引き戻されます。
東京は私の逃避の場所となり、私を映し出すところとなりました。ここでは、人ごみの中でも安全で、孤独感を感じることなく距離を保つことができ、ひとりではないというちょっとした安心感を得ることができます。
スティーブ・フォードは東京で活動しています。
(翻訳:山田晃弘)
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