写真は共に生活する友人や恋人、あるいは旅行や展覧会のオープニングなど、生活に重ねられて撮影されている。写真はPhotoshopのSmudge Tool（指先ツール）を用いて部分的に引き伸ばされ、複数のレイヤーを結合され異なるイメージへと変換されている。Smudgeはサインであり、サインの記述によって写真を特定の時間という幻想から解放する。すると写真は生き物のように、別のものへと変化することを始める。サインを携えた写真をここではないどこかへ逃がし、僕もそれに乗じて移動を試みる。

小林健太は東京･渋谷の写真家。

小林健太　ウェブサイト