フォーレスト エデン 李赫焌
Forest Eden by Yi Hyuk Jun
これらの作品は、森に人工的な要素を付け加えて撮影したものです。森の木々に、ある特別な要素を加えてあります。それは私たち人間が自然界にあると想定できる要素であったり、自然と共に生きる人間の日常生活に密接に関連する要素であったりします。
木々の中に簡単に見つけることのできるこれらの物体は、私たちの自然に対する考え方を浮き彫りにしています。こうした物体と森の木々とがひとつに混じり合ったところ――そこには万物の原初的イメージが含まれています――に、森に対する人間の認識のありようが現れているのです。それはさまざまな危険をはらむ場所への恐れと、そうした恐れに打ち勝つための信念と呪文といったものです。
この一連の作品はまた、人間と自然の関係を、森と共に生きる人間の痕跡を通して表現してもいます。森の中に存在するのは生存のための人間の闘いの痕跡であり、それは自然とは切り離すことのできない人類の信念を象徴するものでもあります。
森の理想の姿と現実の姿との間にある矛盾。それは人間が他の生物とは違って、自然とある程度切り離されていても生きて行けるという、人間固有の特性からくるものです。
森に加えた二種類の人工的な要素と、森についての私の個人的な記憶とが相まって、人間存在と深くかかわる森の重要性を暗示しています。
(翻訳:幾島幸子)