一花義広 選 (リブロアルテ主宰)
一花義広ステートメント
portfolio of takeshi sumi 澄毅
portfolio of takeshi sumi by Takeshi Sumi
写真は「記録」。
「記録」は別の言い方をすれば「時を固定する」ということになる。
私たちは通常、そこに介入することはできない。
しかし私はあえて「固定された記録」である写真に現在から、それ自体にアプローチしたいと考えた。そこには命が「輪廻」するという仏教の思想や、地震や台風、戦争で物質的な継続が困難なゆえに天皇制に代表される継続を欲する日本という場所で育ったことがバックグラウンドにあるのかもしれない。
私の写真には光り輝く「空白」が存在する。
輝く部分はそこに何が存在しているのか分からなくなるという意味で、記録の破壊だ。
例えば顔の部分。我々はその輝く部分にどういった顔があったのか自由に想像を働かせる事ができる。言い換えれば写真の輝く部分は「記録」から自由になる。「今の」私がそこに介入する事ができる。その意味でこの空白(光り輝いている部分)は「破壊」ではなく「創造の土台」なのだ。
過去にあった事は変えることはできない。 しかしその過去の映った世界は今在る存在の手に委ねたい。
その為に私は作品をつくりつづけていきたい。