一花義広 選 (リブロアルテ主宰)
一花義広ステートメント
崖の場所 他 矢島陽介
A place in the cliff and other portfolio by Yosuke Yajima
私は、私たちのものの見方に興味があります。それは私たちが日常の光景を見るときに前提にしているあらゆるものの変容や差異についての興味です。時代や状況がもたらす不安定で近視眼的なものでもあり、私たち人間が古来より総じて持ってきた思考の傾向でもあります。
写真は、ものの見方そのものを再考させることができるメディアであると思います。私はその写真を用いて、私たちが前提にしているもの自体の不確かさを浮かび上がらせようと試みています。
私の作品において、そこに写るものがどこであるか、誰であるか、何をしているのかに特別な意味はありません。どの写真もより普遍的な位置付けにあり、その被写体の形式を借りているに過ぎません。重要なのは、私たちの無意識のうちにある「見る」→「分かる」という流れが、ぎこちなくよそよそしくなることです。これによって鑑賞者の中に妙な間が生まれ、そこから何かを想像する事で初めて作品が成立すると思っています。