Possession - 所有物 ジェイソン・ランガー
Possession by Jason Langer
浮遊 no. 1, 2001
カウボーイ, 1998
Desire, 2001
Carousel, 2008
夜のパレード, 2001
John Street, 2006
Figure no. 213, 2013
Figure no. 175, 2009
オーク林, 2002
イシア、墓と月, 1990
イースター, 2010
ファッション・ウィーク, 2010
Figure no. 87, 2007
窓, 2008
Figure no. 63, 2006
メディチの泉 2, 2010
コルボオ, 2011
コドモマネキン, 2004
ナイトクラブ, 2008
ドゥリエール ノートルダム, 2004
Figure no. 22, 2002
Figure no. 42, 2005
ホテルのベッド, 2011
屋根の上 ロンドン, 2008
Figure no. 84, 2006
セントポールの小道, 2012
地下鉄の駅, 1996
ランプ, 2012
バーのダンサー, 2010
夕焼け 2, 2007
Loose Diamonds, 2008
Figure no. 186, 2009
ホテル, 2004
Figure no. 11, 1999
La Salle通り, 2008
ヴァン・ゴッホの部屋, 2004
Figure no. 49, 2005
回転木馬, 2004
Figure no. 20, 2000
飛び出す解剖学本, 2008
Figure no. 64, 2006
カムデンロック, 2008
ランガーにとって所有物(Possession)が何か起点となっている。作品中の人々に対して、彼は意識的に個人の特徴を詮索するようなことをせず、全体的もしくは一般的なアイデンティティーのディテールに焦点をあてている。
ランガーの一般的な表と裏の概念が、生命のないものを撮影する際に超自然的なものになるような効果を与えている。操り人形、オートメーションライン、マネキン、ドッペルゲンガーなど、あらゆるものが現実と想像の世界の交わり存在し、その生命を得たものは我々が見慣れたものや普通だと思っていることを覆すのである。このように、ジェイソン・ランガーはこの「Possession」シリーズで我々傍観者に、生命体と非生命体との境界線が曖昧になったかのように、生命が吹き込まれたような被写体に対する鋭い造詣をみせている。
散歩写真の手法を踏襲し、彼の写真は、自身が言うように、「よそ者が見知らぬ土地の街角を独りで歩きまわった」産物となっている。彼の散歩についていくと、アミューズメントパークや独身バー、夜の街や裏道、きれいな女性たちとその目付役、庭や公園、ホテルや夜食屋を見て回ることができる。被写体がどのようなものでも、彼の写真は、我々を、レンズの前で予想外で実に写真的な出来事が起きた場所へと連れ戻す。
ランガーの人物写真と違い、物のポートレートは対照的にその物自体の表情や感情に関心を示している。「物の中に人の感情のようなものに興味をいだき、そして、このシリーズでは、研究者が標本を集めるかのように撮影した」とランガーは説明する。
最初のモノグラフ「Secret City」にあるように、Possessionでは、深く憂鬱な黒が独特な怪しい雰囲気を醸し出し、被写体には限られた光の中に浮かび上がるような手法を用いている。ランガーの人体に対する写真の探求においても、現代写真でよくみられる絵画的な手法を避けている。それが形状の考察であろうと、街の風景であろうと、生命のない物でも、ランガーの写真は常に想像し得ないもの、または一瞬のチャンスを捕らえようとしている。
被写体の配置や見え方を考慮するわけでもなく、また日常のありふれた光のなかで撮影しているわけでもない。ランガーは、非現実世界の中に、形を持ち自分たちの場所を見つけ出す不思議さと驚きを表現するために、普段の現実の中に割れ目を探し求めている。
ジョン・ヒル, 2011
ジェイソン・ランガーはオレゴン州ポートランド在住の写真家。
(翻訳:山田晃弘)