木々の間 エリー・デービス
Between the Trees by Ellie Davies
「森とは、木々の間、生い茂る下草と草木のない空間の間、そして全ての”生活環とそれぞれの時間スケールの違いの間に存在するものである・・・。森とは、そこへ入り込むものと何か名前も付けられないようなものや案内役が出会う場所である・・・。形の無い何物かと、それに触れることができる距離。無音でもなければ音が存在するわけでもない。」−ジョン・ベルガー、2007
森とは何か?それはそこにある木々のことかそれともその間に存在する空間のことなのでしょうか?
木々の間で、独りで森の中に立っているつもりで自然と森の意味を考えると、不気味さや時間がゆっくりと流れる感覚と、森内部にある全てのものの様子がその外にあるあらゆるものと違うことに気がつきます。時間の連続的繋がりや、風や雨、ひんやりとした空気など私たちの通常の概念から切り離され、全てが静寂となり、森が私たちを包みこみます。この違う場所へ入り込むには、ゆっくりとした時間の流れと、概念のずれを受け入れなくてはなりません。
渦巻き浮遊して流れる煙は、私たちに、ほとんど動くことのない時間の流れを感じさせるだけでなく、内部の空間である「森」を成す多くの部分にも目を向けさせます。視点は木から別のものに導かれ、この「間にいる」感覚を残します。浮遊し動きの無い煙が空間と木々の間に満ちて、私たちの身体的な経験を映し出します。それは森の、みるからに陰気な様子、弱く半音下がったような音、トゲで刺されたような鋭敏な感覚などです。霧が空間の合間に充満するさまは、時間から抜け出だせるかのような、また逃避できるような感覚を与えます。
エリー・デービスは英国ロンドン在住の写真家。
(翻訳:山田晃弘)