自然の発見物 シェリル・セイント・オンジ
Natural Findings by Cheryle St. Onge
私の祖母は種を収集していた。あちこちのフォーマルガーデン(整形式庭園)の草花や、砂丘に遊びに行ったときに生えていた草、近所の畑の周りの低木などの種をせっせと集めていた。祖母が亡くなったとき、木の箱一杯のコレクションは私のものになった。種はすべて小さなガラス瓶に保存してあった。私はその一つひとつを取り上げては、小さなゴミのような種を眺め、思い出にふけり、その可能性に思いを馳せた。瓶の中にはメモが入っていることもあった。細かいクネクネした筆記体で「ミシガン州ランシング」などと書いた紙が、乾燥したアザミの花と一緒に透きとおった瓶の中に入っていた。
私の写真は自然物の収集の伝統に属し、観察と知識、より多く学びたいと願うこと、じっくり眺めることと自然の驚異といったことをテーマにしている。8×10の大判カメラで撮影した写真のもつ無限の精密さに、私は魅了されている。子どもたちが見つけてきたカエルをマヨネーズの瓶に入れてじっと観察するとき、私と子どもたちは自然の知識と回想が推移していくプロセスに参加しているのだ。
Natural Findingsが探ろうとするのは、自然と、それに関して世代から世代へ語り継がれてきた知識という家族の遺産である。私の両親も、その両親もそうであったし、私自身の子どもたちもそうであるように、私たちは今なお自分を取り巻く自然環境に、そして瓶や箱や袋に入れて収集されてきたものへの驚きに畏敬の念を抱いている。この収集のプロセスは地球科学でもあり、「ショー・アンド・テル」〔学校の授業で子どもたちが何か物を見せながらそれについて説明するスピーチ〕でもあるのだ。
シェリル・セイント・オンジはニューハンプシャー州ダーラム在住の写真家。
(翻訳:幾島幸子)