2013年夏 ジェシカ・タンパス
Summer 2013 by Jessica Tampas
モノクロシリーズLucidに続くこのシリーズでも、ジェシカ・タンパスはミシガン州南西部の湖畔の別荘地で休暇を過ごす子どもたちを被写体に選んでいる。彼女自身も家族とともに、5年前から毎夏をここで過ごしている。幼かった子どもたちも成長し、はっきりした個性が現れてきた。それぞれの名前も明かされる――CC、ブルック、コナー、オーリー、JP。幼さを脱ぎ捨てた彼らは、自分を見る者をある時は物憂げに、ある時はまっすぐに、ある時は問いかけるような目で見つめる。色が加わったことで、彼らの存在感はいっそう鮮やかに際立つ。
別荘の網戸も被写体の一つだ。網戸も子どもたちとともに年を重ねるが、あばたのような染みができた網戸は、子どもたちの非の打ちどころのない若さをさらに引き立てる役目を果たす。ブルックが抱いているのは古びた人形――彼女より100歳以上も年上の赤ん坊だ。JPが手に持っているのは熟したトマト――季節感と過ぎ行く季節を強調している。しかし被写体たちは皆、網戸を隔てた向こう側にいる。「障壁というものに興味がある」とタンパスは言う。「その前と後ろには誰がいて、何があるのか。暗がりには誰が、遠くには誰がいるのか――この壊れかかった網戸の向こう側に埋もれているのは誰なのか」
作品はすべて「無題」
ジェシカ・タンパスはイリノイ州シカゴ在住の写真家。
(翻訳:幾島幸子)