小松整司 選 (ディレクター・エモンフォトギャラリー)
小松整司 ステートメント
Light / 2014 Kiiro
Light / 2014 by Kiiro
見ている花と記憶の花とは境界が曖昧になる。
光はおぼろげに境界を曖昧にしていき、次第に画面はフラットになる。
子供の頃に印象派の絵を観た。高校の頃、油絵で初めて模写したのはモネの絵だった。光の中に形が融合し曖昧になっていく感覚。キャンバスを持ち出し自然の中で描いた。光の中にいること。風が包み込む感覚。移り行く光の輝き。鋭い光。ふわっとした光。優しい光。移り変わる印象。
心が動く一瞬の光。その感動の光の数だけシャッターを押す。重ね合わせた写真はバラバラな過去の光。時間は光の点の連続。私達が見ている星は何億年も昔の光。はじまりはひとつの光。空間に時間を凝縮しひとつの点へと帰還する。融合した光はフラットになり空間の中で秩序を持って調和する。
完成を決めず心はニュートラルに。ひとつの点から360 度。自由にどこへでも行ける。制作する上で私は全てをコントロールせず、偶然の余地を残したい。
作品Light / 2014と作品Elegance of Silence / 2012のふたつのシリーズをご紹介します。
Kiiroは東京在住の写真家。
Kiiro ウェブサイト