HELIOGRAPHY 山崎博

Heliography by Hiroshi Yamazaki

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本集のタイトル、「ヘリオグラフィー」(太陽による画)という言葉は、写真の黎明期、創始者の一人であるニセフォール・ニエプスが自分の発明した写真に命名した言葉である。ダゲール「ダゲレオタイプ」、タルボットの「タルボタイプ」(=カロタイプ)という商標のようなネーミングにくらべて、“光による術”に対する率直な欲求と感受性が現れているといえるだろう。天文学者J・ハーシェルが命名したといわれている「フォトグラフィー」に匹敵する言葉だと思う。被写体として、光そのものといえる太陽をフレームの内にした時、まず頭に浮かんで来たのが、この「ヘリオグラフィー」という言葉だった。
収録した二つのシリーズは、ともに1978年に撮影、発表したものであるが、太陽の長時間露光による写真は、それ以前、1974年の初個展「OBSERVATION・観測概念」(ガレリア・グラフィカ、東京)で、すでに二点登場している。それは水平線を画面のセンターに置いた、長時間露光もふくんだ海のシリーズの一部としてあった。以来、発表はほとんど全て「オブザベーション」というタイトルであり、「ヘリオグラフィー」は、「オブザベーション・8」(個展、藍画廊、東京)、「海をまねる太陽」は「オブザベーション・9」(グループ展、東京デザイナーズスペース)というタイトルを持っていた。それは1979年の個展「オブザベーション・10」(小西六フォトギャラリー、東京)まで続いた。例外は、ニューヨークのグループ展「ジャパン ア セルフポートレート」(国際写真センター、’79)で、“THE SUN”というタイトルで発表したくらいである。以後は“太陽の写真”は「ヘリオグラフィー」のタイトルで発表していくことになり、現在に至っている。
ニエプスの魅力的なネーミングを援用していることになるのだが、タイトルだけではなく、先人の、写真への真摯な情熱をも確保しなければならないと思っている。

1983年10月
山崎博
「ヘリオグラフィー」1983年 青弓社刊より再録