東京金魚 牧野美智子
Tokyo Kingyo by Michiko Makino
光と影で浮かび上がる目の前の景色は、本当の姿なのだろうか。
美しいものと醜いもの、息苦しさと開放感、善とされるものと悪とされるもの・・・など、
どれも真逆な意味なようでいて、受け取る人やその心の状態によっては、
そのどちらにもすぐに変われるものばかり、両面性があるように思えるのです。
渋谷のスクランブル交差点で、新宿の駅構内で、銀座の目抜き通りで、
私は、光が創り出す世界を切り撮りながら、同時に過去と現在、未来をつなぐ時間に想いを巡らせてみた。写真は一瞬を捉えるが、そこには何かをつなぐ世界が、別の時間が流れる世界があるように思えてならない。
私は、この興味深い世界の瞬間を切り撮るために必要なのは、理屈ではなく、一瞬で感じる心、感覚だと思います。シャッターを切る瞬間の感覚が全てである写真は、その表現手段として、私にはなくてはならないものなのです。
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