新しい美 フィリップ・トレダノ
A New Kind of Beauty by Phillip Toledano
私たちが美しいものを創ろうとするとき、何をもって美しいと定義するのか? 私が興味をもつのはそのことです。
美とは昔から“通貨”のようなものでした。やっとそれを自分なりに作り出す技術的手段を手に入れた今、私たちはどんな選択をするのでしょうか。
美の特質は現代の文化によって決まるのでしょうか? それとも歴史によって? あるいは“外科医”の手によって? 時代によって異なる物理的傾向があるのでしょうか? それとも美は時間を超えたものなのでしょうか?
新たな自分に生まれ変わるというのは、それによって真の自分自身があらわになるということなのか。それとも自分のアイデンティティそのものを脱ぎ捨てるということなのでしょうか。
私たちは新しい美のかたちを創ろうとしているのかもしれません――“外科手術”とアートと大衆文化が統合されたものとして。もしそうであるなら、その結果は人間が誘発する進化の先駆けとなるのでしょうか?
私たちは今、かつてない時代に生きています。人間のあり方をすっかり変えてしまうほどの科学技術が存在する一方、まだそれは完全なものではありません。完全になるまでの過程で、新しい種の人間が創造されつつあります。かつてのネアンデルタール人のように、その人間たちはほんの短期間ホモ・サピエンスと共存し、やがて歴史の彼方へと消えていくのです。
画像はすべて70×80インチのデジタルCプリント。
(翻訳:幾島幸子)
フィリップ・トレダノ
ニューヨーク市在住の写真家。
フィリップ・トレダノ ウェブサイト Phillip Toledano website