フォーメーション クリスティー・カルピンスキー
Formation by Christy Karpinski
無題(ひざ)
無題(女の子の赤ん坊)
無題(ミルク)
無題(馬)
無題(足の指)
無題(ハムタロー)
無題(中吊り)
無題(荒れた唇)
無題(髪を掴まれた人形)
無題(植物)
無題(ジャングル)
無題(こぼれた絵の具)
無題(バレンタインのリボン)
無題(紙)
無題(アダの脚)
無題(公園)
無題(緑のバスタブと足の指)
無題(ヨーヨー)
本シリーズの作品は、長年ベビーシッターとして働いた経験を基に作成しました。いつも子供たちとは、感覚的経験の世界から出たり入ったりすることを楽しみました。これは私と小さな友達との繋いでいる点のように思えます。この基本的な部分の探求や結びつきがイメージ—大人と子供の間の空間のようなところに存在するイメージ—となっています。
幼年期社会学の分野では、幼年期と成人期に関する理解力と認知力がどのように変化するかということが現在議論されています。子供と大人の区分というものは、以前は、子供は無垢で成長するとともに世俗感を備えた完成された大人になると考えられていましたが、全く新しい考え方に変わってきています。子供たちはまっさらな状態で、すべての知識や情報を与えてえなければならないものとはもやは考えられておらず、今は「物分りのいい子供」となっているのです。それは、人生の早い段階で子供たちが自分たちに求められていることに対する大人たちの期待が、実際の年齢より賢くさせてしまうように思えます。その一方で、大人は「完全」ではなくなってきています。私たちは、自分たちは常に進化し成長しているとものと考えるようになっています。
この大人と子供に関する考え方の変化が現代写真では多くの場合、「物分りのいい子供」の描写を通して大人へ「子供」の新しい解釈を提示しているのではないでしょうか。私の作品では、鑑賞する人を小さなディテールとイマジネーションの世界へといざないます。そこでは物事がある時はあやふやで、またある時はとても単純で明快なものとなっています。画像の中の子供に注目し、この視覚と知覚的経験世界に触れることで、大人はこの「子供の目」を自身の目として、大人として見る世界が相変わらずまだ形成されつつある、もしくは形成の途中であることを認識していただきたいと思います。
クリスティー・カルピンスキー
アメリカ・イリノイ州シカゴ在住の写真家・教師。またF-Stop Magazineの創始者・編集者
(翻訳:山田晃弘)