サイドライン ジュリア・ヴァンデノーヴァー
Sidelined by Julia Vandenoever
2011年10月28日
家
紙幣
無題
私
祈り
2012年4月26日
ボルダー
裏庭
2012年5月7日
お手上げ
2012年6月6日
2011年10月28日、今も続く経済危機が我が家にやって来ました。たった24時間のうちに、普段の生活が突然別れを告げていきました。夫と私は、同日の数時間内でそれぞれ解雇されたのです。朝、私は長く勤めた出版社の職を解かれることを伝えられ、凍りつきました。そして、その2時間後に夫から、テキストメッセージで、彼も解雇されたことを知らされ、呆然としました。何かが壊れたのは、私物を入れた段ボールを横に置き、車で帰宅する途中でした。車を止めショックを抑えなければならないほどでした。3年ほど、ラジオの公共放送から流れる失業体験談を聞き流してきましたが、今、最悪の事態が降りかかり、自身の失業体験、1330万ものアメリカの失業者の仲間入りをした夫と妻の失業体験談を自ら聞くことになりました。
私たちは、典型的なアメリカの中産階級過程で、母親と父親、娘ひとり、息子ひとりと、犬一匹で暮らしています。四人と一匹は、コロラドのふもとにある青レンガ造りの31坪ほどの平屋に住んでいます。生まれ持っての楽天家で、すべての事物の表面に隠れている輝くものを見せようと努力してきましたが、今はそんな輝くものなど儚いもので、幻想だということに気が付きました。10月28日以降、家族の普段の瞬間を撮影し続けています。それは、ある意味想い出としてですが、気苦労を背負って生活し、望みを捨てないで家族を養う職を無くした両親の奮闘記録でもあります。ここで発見したことは、失業しても、また子供がいると人生は止まることがないということです。誕生日やホリデーは続き、朝食の準備はしなくてはならず、洗濯もしなければなりません。そして、毎日、平静を装ってこの経験から意義を見出そうと努力しています。
色々な意味で失業経験は、私に世界を違う角度で眺める能力を与えてくれ、また、普通であることへ声を届ける力を与えてくれました。
ジュリア・ヴァンデノーバーヴァーはアメリカ、コロラド州ボルダー在住の写真家です。
(翻訳:山田晃弘)