もうちょっと遊ばせてよ スザンヌ・レヴィ
Time Let Me Play by Suzanne Révy
小学校3年生か4年生のころ、宿題をしていなければならない夕方遅くに裏庭へ行ってよく遊んでいました。わたしは開拓者となり、馬に乗り草原を縦横無尽に駆け回っていました。あたりが暗くなる頃には夕飯に呼ばれ、その日の遊びの世界から呼び戻されました。6年生になると、裏庭での冒険時間がだんだん長くなりました。今振り返ると、この想像上のドラマはエデンの園への旅のような気がし、大人になった今、気が付くと、知らぬ間にこの庭への扉は閉じられていました。
子どもが遊びに熱中しているときは、どこか遠くの世界に行ってしまっているようです。子どもは会話や掛け合い、そして「ごっご」遊びを通して見えない世界を作り上げます。彼らの言葉はぬいぐるみに命を吹き込み、また恐竜やドラゴンが木の陰やベッドの下に潜んでいると信じています。わたしは彼らの手足の動きや、小さな生き物を見つけて触る仕草、どろ、岩、葉っぱなどの臭いを嗅いだり、触ったり、調べたり、集めたりする様子など多くのことを観察し写真にします。ときには、遊びを止めて写真にポーズをしてくれます。それは宝物を自慢げに見せてくれたり、もしくは絆創膏を貼るのでちょっと遊びを中断しなければならなったりした時です。なぜ子どもは、心も体も遊びにそんなにまで完全に没頭できるのでしょうか?
自分の息子達に耳を傾け観察しても、彼らのお話や作り話や秘密をいつも理解できません。自分の子どもや他の子供たちを撮影するとき、カメラのレンズを窓として、彼らの創造する王国への手がかりを探ります。そして、遠巻きながら、自分自身が再び子どもの遊びのなかに引き込まれていくことが分かります。
スザンヌ・レヴィ
アメリカ・ニューヨーク州ブルックリンの写真家。
(翻訳:山田晃弘)