ネットの活用とチャリティイベント

Webstie used as an important tool in charity event promotion

3.11の東日本大震災をうけて、ニューヨークでは被災者支援のためのチャリティーイベントが連日開催されている。その中でも”We are One" Japan Earthquake and Nuclear Crisis Relief Exhibition(日時:4月11日/場所:ニューヨーク工科大学内ギャラリー61)は、ファインアート関連のイベントとしては最も注目を集めたようだ。

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主催者 となった有志は、小田祐子:ニューヨーク工科大学助教授、田中真理子:インデペンデント・キュレーター、林眞夕弓:mhstudionycプロジェクトコーディネター、藤高晃右:NY Art Beat、Tokyo Art Beat共同設立者、横山由香:マージナル・ユーテリティーディレクタープ, 桜井やよい:プロジェクトコーディネーターで、ニューヨークの美術業界の立役者としてそれぞれ活躍している面々がそろった。

本展は、ニューヨーク在住の100名以上の日本人アーティストによる作品を展示、200ドル 以下で販売するというもの。さらには、スペシャルゲストとしてアーティストの森万里子、インゴ・ギュンターによるトークショー(司会:美術史家の富井玲子氏 )が行われるなど、華やかなものとなった。

そして、フェイスブックなどのソーシャルメディアを駆使し、活発に宣伝をしたことが功を奏し、作品は販売開始2時間後にはほぼ完売してしまった。総額1万6千ドルあまりがJapan Societyの“Japan Earthquake Relief Fund”を通じ、被災地へ送られる結果となった。

展示作品のうち約40%を写真作品が占めたが、日本で一定の成果を挙げ、ニューヨークにも活動の場を広げようとする新進作家が多く含まれ、それらの作家を一同に観ることのできる希少な機会であったことは、本展の成功の一因と言えるだろう。

参加した写真家やアーティストで特に注目を浴びたのは、2010年度の文化庁新進芸術家海外研修制度により派遣された、神林優と、小島康敬、国内はもとより、ドイツ、ロシア、イタリア、オーストリア、韓国と、海外で華々しい活躍を展開中の、齋木克裕、2010年日本写真協会新人賞受賞の藤岡亜弥、ファインアートのオークション業界で人気を博すアダムフスの第一助手を勤め、先月、ニューヨークのチェルシーの画廊で展覧会をおえたばかりの武田元宏の作品でした。

本展の目的はチャリティーであるが、値段を低く設定したことで、今までアート作品を買ったことのないであろう多くの来場者に初めて作品を買うという契機となったこともまた、非常に意味のあることであったようだ。

また、震災後ショックを受けたハリウッドスターやミュージシャン等が、自身のツイッターに相次いでコメントを投稿し一般のファンに事態の惨状を自身の正直な言葉を使い気持ちを表した事も、ニューヨークで数々行われている市民参加のイベントを成功に導く要因のように思う。社会的、文化的背景の違いあるが海外の社会情勢に際するアメリカ人の対応の早さには目をみはるものがある。

米国政府はもとより、ハリウッドセレブ、著名なファッションデザイナー、アーティストは、義援金を募るチャリティーイベントや、個人的に活発に寄付をする動きがある。一例に、日本のファション業界とつながりの深いデザイナー、マーク・ジェイコブ、アレクサンダー・ウォン、トリー・バーチがチャディーセールを通じて売り上げを寄付したり、ミュージシャンのケイティ・ペリーやP・ディディが、メールを送ることで10ドルの募金ができるシステムの利用を、ツイッターで呼びかけたり、日本の音楽業界で大人気のレディーガガは、チャリティ・ブレスレットを急遽制作、自身の公式ホームページにて販売している。

また、オノ・ヨーコが主宰のチャリティー・コンサート”YOKO ONO & FRIENDS TO JAPAN WITH LOVE”(3月29日)には、ルー・リードや、パティ・スミス、アントニー&ジョンソンズ等の多くの有名ミュージシャンが参加し義援機を募り、そしてハリウッド女優のサンドラ・ブロックが個人的に100万ドル(約8000万円)を赤十字に寄付した。

チャリティーの形もいろいろあるが、インターネットを通じて多くの一般市民により早く、効果的に義援金を支援するという事は、とても有益な事だと思う。アメリカに比べて、日本はまだまだ、ネットを通じてのコミュニケーションに消極的なような気がする。ネットでの意思疎通はもちろん、短所もあるが、うまくそれらを使えば、一つの意志のもと多くの人が繋がる可能性にも満ちている。日本でもフェイスブック等のネットを活用する動きがこれからもっと盛んになっていくのではないかと思う。