フォトグラファーハル
*HALさんは2011年のレビューサンタフェの審査をとおって、6月初めのレビューにはじめて参加されたわけですね。参加された感想をまずお聞かせ願えますか。
@まずは六本木のスーパーデラックスで行われたフォトグラファーズサミットというイベントでの永田さんのトークでレビューサンタフェの存在を知りました。それと永田さんのブログ以外でレビューサンタフェの情報を得る事が出来ず、現地でどれほどの規模でどれほどの認知度のイベントなのかよくわからないまま応募したというのが正直なところです。その後、永田さんの奨めもあり、スケジュールを調整してサンタフェに向かいました。英語に関しては、自分が話す分にはあらかじめ準備していけばいいのですが、ヒアリングが苦手なので、これは通訳が居た方がいいと判断、日本在住のアメリカ人の友人に現地人の通訳を見つけてもらいました。FaceBookで見つけたそうです。
いろいろと不安要素が有ったわけですが、実際参加してみてそれらはすべて無駄な心配でした。視野が広がり自分に自信もついたし、意識も一段高めて帰ってきました。
Photo by Norihisa Hosaka
*日本から参加したのは保坂昇寿さんとお二人だったのかな、と思うのですが、他にはアジア地域から参加していた人はいましたか。
@日本から参加したのは自分と保坂さんの2名だけでした。そのほかにアジア人は在アメリカ韓国人と在アメリカ香港人がいたくらいで、基本的に全米各地からやってきたアメリカ人です。ヨーロッパやアフリカ中東からの人も来ていたので、世界基準を見たという印象を受けました。
Photo by Photographer HAL
*100名の写真家が審査を通過して参加したわけですが、欧米の写真家にはどんな印象をもたれましたか。
@参加者たちはすでに展覧会を何度も行っていたり写真集なども出していたりとすでに相当な結果を出している人が多く、意識も高かったです。
年齢も一般的な学生より上の印象で、30代くらいのアーティストとしてばりばりやっている風の人が中心で、おじいさんおばあさんくらいの人もいました。
日本では写真の方向性としてけっこうピンポイントな文脈が有りますが、アメリカでも日本ほどではないにしてもそういうものは有って、いわゆるスナップショットは全然見かけずにコンセプチュアルなものが多く、彩度を抑えた郊外の風景を撮っている人が多かったです。その中にあって自分の作品は異質だったのではないかと思います。
*レビュアーの印象はどうでしたでしょうか。
@今回の参加の主な目的を、自分の作品をアメリカのマーケットに流通させるというところに位置付け、レビュワーをギャラリストを中心に選び、
それをもとにいろいろ想定される英文を準備していきました。おそらく個人的にアタックしてもなかなか会う事が出来無いような大変な人たちなのだと思いましたが、権威的なところが全然なくフレンドリーな態度だったので、すごくコミュニケーションが取りやすかったです。それと通訳を頼んでよかったと思ったのが、通訳を介している間相手への返答を練る事が出来た事で、そういう点でアメリカ人よりも有利だったかもしれませんね(笑)。
Photo by Norihisa Hosaka
*HALさんの今回の作品に対してどんな反応がありましたか。
@自分も保坂さんもプレミーティングのときから、その奇抜ななりから、かなり目を引いていたようで、レビューを受けるたびに、お前と話がしたかった的なことを言われました。私は批評されることよりも、いかにレビュワーに売り込むかにプライオリティーを置いていたので、終始自分の写真がすばらしいかをプレゼンテーションしていました。そして9人のレビュワーのうち8人から賞賛を得る事が出来ました。「アメリカでうける」と。
Photo by Norihisa Hosaka
*具体的にレビューからなんらかの成果がありましたでしょうか。
@みんな一線で活躍しているような人たちが、熱心に自分の作品のレビューを受けていました。自分もまだまだ作品について模索し続けてもいいのだと安心しました。なによりアメリカで反応が良かった事で自信がつきました。具体的な展開にはいくつかのギャラリーとメールでコンタクトが続いてますが、具体的な展開はまだですね。
*サンディエゴで行われるArt of Photographyというコンペ形式のグループ展にも応募されて見事に入選されたそうですね。そうしたことも含め今後も海外のフォトマーケットへの挑戦をしていくつもりですか。それは具体的にはどんな方法でなのでしょうか?
@レビューサンタフェに応募したあたりからいろいろな海外コンペの誘いが来るようになりました。どんなコンペなのかをよく見定めなければなりませんが、迷ったら出すようにしています。来週にArt of Photographyのオープニングが有るのですが、サンディエゴに行こうと思っています。単に賞を取ったやグループ展をしましたでは終わらさずに、実際に現場に出向いて作品を自分で売り込んだり人脈をつくるべきだと思いますし、そういうことができるいいチャンスだと思ってます。今はメールでのコミュニケーションが主となっているので海外とのやり取りも容易になってますが、やはり顔を突き合わせて作り上げる人脈というのは強いと思います。
Art of Photography ではさらに1st Placeを受賞された。
フォトグラファーハルウェブサイト
2011年8月4日