ONWARD無料写真コースのお知らせ

イチから始める海外フォトコンテスト

この秋からはじまるONWARDの無料写真コース。いったいどんなものなのか主催者の伊藤剛さんにお聞きしました。お知らせの内容はインタビューの後に掲載してありますので、ぜひご覧になって下さい。


FMJ: インターネットが利用できるようになって日本の写真家も世界のフォトマーケットに進出できる機会が劇的にふえてきました。イトウさんはこのような時代に日本の写真家に必要なスキルはどんなことだと思われますか。

イトウツヨシ(伊藤剛):

a. onlineとoff-lineの両方の情報の収集力と分析力

今はいろんな情報がいろんなチャンネルから入ってくる時代です。それはある意味誰もが目的さえしっかりしていれば、いろんな「情報」を得る事ができるということです。それを使わない手はないでしょう。

そこで気をつけなければいけないのが、情報を収集するだけではなく、必要な情報と、必要でない情報を判断する力であったり、分析をする力でしょう。つまり、どのように得た情報からある種の仮定を組み立てて、それを裏付ける情報を探すかという作業を行う必要があります。

そして、今の時代、インターネットを検索すれば全ての情報が得られるという錯覚に陥りがちになりますが、onlineだけでは分からない事も沢山あることを自覚する事も大切です。人に実際に会ったり電話などで話してみないとわからないことを忘れてはだめだと思います。そこをわきまえておくだけでも、情報の収集方法が変わっていくでしょう。

b. 自分の意志を伝える為のコミュニケーション力

海外に出て行く事は1人でできることではなく、いろんな人の力や関係が必要になります。そういう人に対して、自分が何をやりたいのか、または自分にどのような事が提供できるのか、そしてそれに対してどんな見返りや手助けが必要なのかということを明確に伝える事ができると、まわりの人の行動も具体的になり、動きやすいと思います。

このように自分の意志をはっきりと伝える事ができるようになると物事が動くスピードがとても早くなると思います。

c. 人間関係を作るビジネスのスキル

作品を発表するということは海外でも国内でも業界の人との人間関係を作り上げていくということです。それが同僚としての写真家のネットワークであったり(横の繋がり)、ギャラリーやキュレーターの人など(縦の繋がり)両方にわたって努めていく必要があると思います。

もちろん、実際に住んでいる場所で行うネットワークと海外でのネットワークでは実際に使う方法が変わってくることは言うまでもありません。そして文化の違いなども考慮するなど多かれ少なかれその土地や文化に適応した方法を考えるべきです。

どちらにしても、そして、どんな方法でも人と連絡することをできるだけ頻繁にしていく事でしょう。そうすることによって人間関係を広くそして太くして欲しいと思います。

FMJ: 実際に海外をめざしている写真家と接してどのような感想をおもちでしょうか。

イトウ:

a. まずはレファレンスを広げて作品を作って欲しい

今までに日本にも独自の面白い写真の流れというものがあることは世界でも認められている事であります。それはそれでいいと思うし、その流れはこれからも続くのではないでしょうか。

ただ、それと同時に海外の写真との幅を相対的に比べた時に日本の写真の流れはレファレンスが狭いということも事実だと思います。ですので自分のやりたい事が日本の枠組みで評価や理解されなくても、そのレファレンスを与えられるのを待つのではなく、海外での例やアーティストを自分で探してきて、自分でレファレンスの幅を広げる事がとても大切です。それが歴史的な作品でも、今現在若い世代の人が作っているものでも、よく調べれば必ずといっていいほど自分と同じようなことをやっている人はいると思います。

同時に世界の写真の流れや歴史についてある程度の知識を持つ事は大切です。それはただ漠然とした「教養」といういうことだけではなく、海外の人に自分の作品を見せる時にその人達が使うレファレンスを知っておくと説明しやすいですし、とても有効な手段でしょう。

b. 写真を視覚的に形成するを学んで欲しい

これは教育と関係あるのかもしれませんが、日本の人は「感覚的」に写真を作るなどと聞くことがあります。感覚的にものを作ると事はとても大切です。ただ作品を作るということは「偶然性」と「必然性」の間を行き来して、その関係性を常に問う事だと思います。そういう観点から感覚的に撮った写真を視覚的に必然的にする作業が常に必要だと思います。


FMJ: イトウさんが日本の写真家をサポートするうえで重要視しているポイントをお教え下さい。

イトウ:

a. 有効な情報の提供

ONWARDのブログやウェビナーなどのセミナーを通じて有効な情報を提供する事です。英語での情報として当たり前の事を日本語にする様な簡単なものから、ちゃんと時間をかけてリサーチなどを行ったものをONWARDのサイトを通じて紹介しています。

毎月の海外フォトコンテストなどはいろいろと数ある中から、このコンテストに参加する事によってどのようなことに繋がるのだろうかということを考えながら選んでいます。又は英語と日本語のステートメントの公開クリティークなどを行い情報発信をしています。

そして情報をただ発信するだけではなく、その情報を理解や価値判断をするのに役立つ「秩序」や「文脈」をできるだけ説明することで、その情報の利用法や価値基準の枠組みをわかってもらうことにも努めています。

b. 日本から受けられるアメリカ写真教育の提供

今年から始めた試みですが、ONWARDグローバルコースというタイトルで、日本にいてアメリカの写真教育で学べる写真コースを提供しています。アメリカと日本を行き来していると、今の日本に決定的に何が足りないのかと考えた時に、それは、成熟した「写真教育」ではないかと思っています。

例えば、アメリカの写真といわれた時に、その時流行の写真家の名前や、ギャラリーの仕組み、アートフェアなどのマーケットの話が話題になることは沢山ありますが、写真教育が話題に挙がることはほとんどないです。しかし有名な写真家を育てたり、大きなマーケットを底から作り上げることができた理由として教育の仕組みは欠かせないことだと思います。ある意味、教育の仕組みを抜きにしてアメリカの写真を語ることはできないほど、教育の役割や影響力が大きいものだと思います。これを抜きにしていくら日本の中で海外と繋がるチャンスがあっても活用できる人が効果的にふえるとは思えません。

この教育の場が幅広いレファレンスを学ぶ所であったり、自分の作品を客観的にみることを習得する場であればと思います。長期間のコースや短期間のワークショップを通じて、経験豊富な講師とのコミュニケーションを通じて、純粋に自分の写真の表現をもっと豊かにする方法を学ぶ機会として活用して欲しいと思っています。


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ONWARD無料写真コース
イチから始める海外フォトコンテスト

日本にいながら海外のフォトコンテスト(コンペ)に参加するための基礎知識を得て、応募の仕方から作品 の選び方までの指導が8週間に渡って受けられる海外コンペ基礎写真コース。

「自分でやる」ことに重点を置いた参加型コースで、課題を通じて自分の作品に対して客観的になり、コンペの条件を満たす作品を創り、選ぶところまで懇切に指南。課題回答に対するクリティークを通じて、海外コンペ参加への準備を整えます。

日本から海外に活動の場を広げたい写真家には絶好のチャンスとなります。

【無料コース概要】

○海外コンペの情報

ONWARDの長年の活動と人脈から得られる海外の写真コンペの情報をいち早く提供。日本での活動から世界へと、その場を広げたい方へと有益な情報をお届けします。

○コンペの選び方

数多くある海外の写真コンペから、自分の作風に合ったコンペの選び方を指南。日本ではなかなか得づら い、現地からならではの情報と方法論を提供。

○出品する写真の選び方

自身の作品に客観的な判断を下し、コンペに合った作品を選び出すのは熟練者でも難しい課題です。 ONWARDは客観的な作品の見方を指導し、コンペに「勝つ」ための作品選びを指導します。

○応募の方法

海外のコンペへの応募には、避けようもなく英語でのステートメントなどの記述が必要になります。 ONWARDでは過去の英語エステートメントのクリティークなどを行ってきた経験から、海外にとって適切な応募の方法を指南します。

【有料コースの案内】

本コースでは、オプションで有料にて受けられるコースも準備。さらに個人的に、さらに深く海外コンペへの準備を整えたい方に、より具体的な方法論を伝授します。

(有料オプション例) · 非公開Facebookコミュニティへの参加 · 個人向けE-mail「面談」サービス · スカイプ「面談」受講 · Laura Valenti Jelenによる写真レビュー(11月に東京で開催予定) ※詳細はWebサイトにて公開

ONWARDは、 アメリカ・フィラデルフィアに拠点を置く写真センター、Project Basho/ONWARD主催による、ファインアート(芸術)としての写真の創作をサポートしている写真センター。代表のイトウツヨシの日英バイリンガルを活かして、アメリカ写真業界の「今」を、インターネットを駆使してタイムリーに日本に配信しながら、日本で活躍する写真家の海外進出を支援。

■ Information

日程:9月下旬(※コース内容詳細は9月中旬に発表)
開催地:E-mail、WEBを使った自宅学習方式
主任講師:イトウツヨシ
定員:無料コースは無制限
料金:基本コースは無料
申込期間:受付中
参加方法:WEBサイト からお申込みください。
お問い合わせ先:ONWARD MAIL: support-jp@onwardphoto.org
URL: http://bit.ly/XYKM1R

イトウツヨシ プロフィール

米・フィラデルフィアーに写真センターProject Bashoを設立。写真を通してフィラデルフィアを活発にすることを目指し、初心者から上級者まで、技術的なことから作品を作るアイデアなど幅広いクラス やワークショップを開催。また、ONWARDプログラムディレクターとして、毎年一度、国際フォトコンテストONWARD Compéを実施し、写真イベントONWARD Summitで入選者の展示、写真家によるレクチャー、ポートフォリオレビューなどを開催している。この6月から、日本にいながら自分の作品を海外のレベ ルまで引き上げるメソッドを学ぶONWARDジャパングローバルコースを立ち上げた。