ERI.Yのヨーロッパ写真見聞録#1

パリフォト体験レポート

Bonjour! 皆さんこんにちは、ERI.Yと申します。写真家の卵です。
今月の初めに、ワーキングホリデービザでフランスに来ました。これから1年滞在する予定です。このたび、こちらの格式高いサイトに記事を載せて頂けることになり、大変光栄です。
先日2011年のパリフォトに行ってきましたので早速そのレポートをしたいと思います。
パリフォトの開催は今回で15回目、ディレクターが変わり、場所も前回のルーブルからグラン・パレに移りました。カタログによるとギャラリー、出版編集合わせて135の出展者のうち、65%が海外からの参加、55の出展者が初めての出展です。

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毎回招待国というのがあり、(3年前は日本でした)今年はアフリカです。会期は2011年11月10日から13日まででした。会場のグラン・パレは天井が高くとても大きな会場です。その会場いっぱいにブースが並んでいます。グラン・パレの大きな特徴は実はその天井で、なんと全面ガラス張りなのです!
天気がいいと直射日光が容赦なくさしてきます。私が行ったときも日光が会場を明るく照らしていました。展示されている作品に直接当たってしまうブースもあり、見ているこちらが作品の心配をしてしまうほど。写真を守るために、布を被せているブースや作品をすべて片付けてしまったブースもあります。

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 出入り口の近くのブースに今年のパリフォトの広告やマップ、カタログの表紙を飾っている写真を発見しました。アフリカの作品を多く扱っているギャラリーのようです。バオバブの木の作品がとても気に入りました。

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そこから会場右手のブースを見ました。どれもこれも有名なヴィンテージものが多かったです。
生でこれだけの数の有名な作品を直接見れるなんて!!!
感動して鳥肌をたてながら今度は会場左手のブース群へ行くと、見たことない新しい作品の数々。。。
あまりの作品の多さに目を回していると行き当たったのが、「TARO NASU」のブースです。
そうだ、この際取材を敢行してしまおう、ということでお願いすると、細井眞子さんが詳しくお話して下さいました。

細井さん
「会場が広くなったことで出展者数も増え、作品の数も増え、お客さんの数も増えたのではないでしょうか。3年前は日本が招待国だったので、アジアからのギャラリーの参加が多かったのですが、今年は欧米中心ですね。作品は、昨年も今年も売れ行きはあまり変わりません。3年前はよく売れましたね。
参加しているギャラリーは、写真以外の取り扱いをしている画廊の参加が増えたように思います。
今年からディレクターが変わったので、会場が広くなったのも、より多くの人に写真を広めたいという意思の現れではないでしょうか。
昨年までが写真オタクのイベントだったものが、今年はより一般に向けて開放された感じですね。」

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写真オタクのイベントからより一般向けへとはわかりやすい例えですね、なるほど!
ヴィンテージの作品が多いように感じたので、今年の傾向なのかと伺うと、そうではないそうです。パリフォトはもともとヴィンテージ作品を売買するところなので、いつものことなのだとか。なるほど、また勉強になりました。
ギャラリーの方にお話を伺うのはとても面白い、と気が付いた私はくたくたになりながら「MEM」のブースへ。MEM代表取締役石田克哉さんにお話を伺いました。

石田さん
「会場が広くなったことでブースがよりOPENな空間になりました。パーテーションの高さもあるし、ブース内が広くなってゆったりと見ることができるので、お客様に喜んで頂いています。
当ブースでは、近代のヴィンテージものの作品から現代の新しい作品までをバランスよく出展しています。美術館の方や批評家の方をはじめさまざまなお客様がどちらの作品にも興味を深くもってご覧頂いています。
作品はWEBでもご覧いただけますので、チェックしてみてください。」

URL http://www.mem-inc.jp

近現代を幅広く扱い、多くの人に写真に興味をもってもらえるように気遣いがなされているように感じました。写真を鑑賞するための空間作りもギャラリーによってさまざま。パリフォトの会場では多くの国からの参加があるので、お国柄も垣間見ることができます。

 ギャラリーのほかに、写真集を扱う出版の部門があります。「赤々舎」の松本知己さんにお話を伺うことができました。

松本さん
「3年前に出展して以来の参加です。会場が広くなったので、お客様とのコミュニケーションが取りやすくなりました。本もじっくりと見て頂けてます。よく売れている本は、日本語の文章が多く入っている写真集です。パリフォトでは、製本の仕方や紙質を見て買ってくれる人がたくさんいます。他にも写真集フェアはありますが、パリフォトは規模が大きいので多くの方に見ていただけます。
高いクオリティとプライドをもって出展したいので、パリフォトの参加が一番適していると思っています。」

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写真そのものと、それを製本して出版するということはまた別の分野です。きれいなプリントをいかにきれいに紙に印刷して本にするかが出版社にかかっているのです。15周年ということもあり、出版ブース群の中央にはパリフォトで賞を取った本がガラスケースの中に並べられ展示されていました。

帰り際に出入り口付近の本売り場でパリフォト特集がされている現地の雑誌を数冊購入。午前中から並び、見終わって会場を出る頃には夕方になっていました。一通り見れたつもりだけど、見逃しているものも多くある気がして、パリフォトに関する情報を多く集めてみました。

まず最初に気になっていたのは、パリフォトのディレクターってどんな人なのかということです。
特集された雑誌をいろいろ読んでみると、"CONNAISSANCE DES arts photo"28号に記事を見つけました。タイトルは「パリフォトのトップ、JULIEN FRYDMAN」です。

「Julien Frydman(43)はGuillaume Piens に取って代わり、グラン・パレに会場を移したパリフォトのトップとなった。2006年から2010年のマグナムフォトのかつてのジェネラルディレクターは《写真を孤立状態から連れ出そう、あらゆる形態のアートとの対話および影響力があるこの媒体を称賛しよう》を合言葉にした。写真という財産により高い価値を与えることに配慮し、2008年Magnum Heritage Foundationのプロジェクトに手ほどきをしたとき、彼によれば《写真作品を再読しそれらをアートの歴史の中に再び書き込む》チャンス。しかしながら《展示会は、現代の作品と瞬間的に接触していなくてはならない》、これはTBWAのインタラクティブな子会社のクリエイティブディレクターを思い出させる。
彼が、アート批評家のChantal Pontbriandと協力してパリフォトに実験のプラットフォーム思索のプラットフォームを作ったことも納得がいく。
とりわけ社会的な人脈および写真に関するインターネットの効果という問題に手をつけるため、そしてパフォーマンスでメディアに直面するため。。。」

 今年のパリフォトでは、“MUTATIONS”という本の出版があったのですが、この本の内容に沿った形、テーマごとに毎日トークイベントが行われていたようなのです。また、パリフォトの中に企画展がいくつかありました。企画展は見ることが出来ましたが、トークイベント、その存在は知っていましたが、まったく見ることが出来ませんでした。。。

 写真の展示会だけではなく、その場を広く開放し、写真を通してさまざまな意見交換の場、コンタクトの場、まさにプラットフォームのパリフォトだったのだな、とあとから実感しています。おのおのの写真との関わり方が異なっているのに、同じひとつの場で同じ時間を共有できることの面白さがパリフォト2011年にはありました。来年も楽しみですね。

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